腐れ大学生のブログ

ゲームや日常生活での出来事を書き連ねています。

ブックレポート第2回目 手袋を買いに 

手袋を買いに 

著:新美南吉

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 小学校の国語の教科書に載ってるような読みやすく良い作品であった。途中、笑みがこぼれてしまうような小狐の可愛らしいドジもあり、癒やしをもらえた。

 私は、人間から距離を取りひっそりと暮らす動物作品に滅法弱い。テイストこそ違うものの、狐と人間の関わりというだけで、ごんぎつねを彷彿とさせられたのは私だけであろうか。中身は全く異なるので私の早とちりであったのだが。

 最初、狐が街に手袋を買いに行く、というもんだから、てっきり動物が人間のように文明を築き上げている世界観なのかと思ったが、どうやら人間にバレないように街に繰り出すらしい。ごんぎつねの例があるため、私はいつ狐たちが非業の死を遂げるかとハラハラしていたのだが、蓋を開けてみたら、血も出ずに幕を下ろした。

 余談だが、私は非恋や鬱展開をウリにするような映画や小説が苦手だ。ヤワな精神を持つ私はハッピーエンドしか受け止められないのだ。しかし、いざ病に臥せったヒロインが出てくると涙を流して、あぁこの映画は泣けるな、なぞと嘯く自分もいる。私のような人間がいるからこそ需要が生まれるのかと、その時初めて気づいた。 

 もしや、小説というのは、喜びや楽しみだけを表現すると、薄っぺらく感じてしまうものなのだろうか。怒りや哀しみを誘う展開を用意してこそ、ストーリーに奥行きが出るのだろうか。長編小説で終始平和な展開でお話が進む作品を挙げよ、と言われても私はパッと思い浮かべることができなかった。直感だが、短編だからこそ出せる味というのはきっとある。それを言語化できるほど本に触れていない自分を恥じるばかりである。

 

 このようなブックレポートを定期的に、できれば週1以上のペースで執筆したいと思っているが、本作品を通じて、作品の選定が難しいことに気づいた。長い小説は読むのが億劫なので気がのらないのが、短すぎても書くことがなくなる。